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日帰り手術

当院の日帰り局所麻酔手術について

当院はどこにでも有る、入院設備のない一般的な耳鼻咽喉科診療所です。

しかしながら、開院当初(平成17年)より、一貫して力を入れてきたことがあります。それは、鼻の日帰り局所麻酔手術です。

対象となる病気は、慢性鼻炎アレルギー性鼻炎慢性副鼻腔炎(いわゆるちくのう症)それから鼻中隔彎曲(わんきょく)症などで、症状としては、慢性的な鼻づまりや、鼻水のある方です。

当院の手術の実績をお示しします。2020年新型コロナの蔓延により一時的に休業を余儀なくされた期に、院内の改装、スタッフの刷新とともに、手術に関しても麻酔方式の変更、高性能カメラの導入、など積極的な見直しを行い、コロナ禍にも拘わらず2021~2023年にかけてコロナ以前を上回る手術実績を上げることができました。

現在、手術枠をできるだけ増やす努力を行っておりますが、予定手術の場合かなりの期間お待ちいただく事態になっております。但し、緊急性のある症例に関しては臨時枠で可能な限り対応しております。

当院の鼻科手術実績(2023年12月31日現在)

鼻の日帰り局所麻酔手術の特徴

当院で行っている鼻の日帰り局所麻酔手術は、なにも簡単な小手術というわけではありません。

おおかたの総合病院の耳鼻咽喉科では1週間程度の入院をして行うレベルのれっきとした手術です。それを、経験と創意工夫で、局所麻酔下に、しかも日帰りで提供しているのであります。

総合病院の耳鼻咽喉科で手術を勧められていても、仕事のためにまとまった休みが取れなかったり、お子様が小さいために一晩たりとも家を空けることのできないなどで、手術が受けたくても受けられない方は思いのほか多く、そういった方が当院には多くみえます。

また、局所麻酔の手術は呼吸器疾患や全身疾患を有する患者さんにも安全に受けていただける上に、在院時間が大幅に短縮できるというメリットがあります。

具体的に申し上げますと、鼻づまり手術や蓄膿手術の場合起になってお帰りになるまで平均3時間半ほどです。

それでいて下記に示すとおり痛みのコントロールやリラックス度も十分なレベルを維持しております。

「手術中の痛みはどうだったでしょうか?」という質問に対するアンケート結果

86.2%の症例で良好な痛みのコントロールが得られた。

「手術中のリラックス度はどうだったでしょうか?」という質問に対するアンケート結果

74.1%の症例で精神的安定が得られた。

鼻閉(鼻づまり)改善手術

鼻づまりは気がつかないうちに進行している

鼻水や、くしゃみのような症状は自覚しやすい鼻の症状ですが、鼻づまりは、意外と無意識のうちに進行していることがあります。

ケース1

耳のことで診察にみえた患者さんで、ついでに鼻を見たときに随分ひどい鼻炎で殆ど息が通らないような方を見ることがあるのですが、案外「気にしてませんでした」という反応が帰ってくることがあります。

そこで、一時的に鼻通りを良くする処置をすると、「エッ、鼻ってこんなに通るんですか」という具合です。つまり、物心ついた時からずっと悪い人は自覚症状がありません。

ケース2

「最近鼻づまりが辛くて寝られないんです。以前はつまる時もあるけど通っている時間の方が長かったのですけど」という方。

診察をすると、とても最近悪くなった鼻ではありません。つまり、慢性の鼻炎が徐々に徐々に気がつかないうちに進行してついに通らなくなって明らかな自覚症状が出た、というケースです。

正常時とアレルギー性鼻炎時の鼻の中の様子

鼻閉(鼻づまり)は放置してはいけない

鼻づまりは、「単に息がしにくいだけ」というふうに軽く見られがちですが、体にとって実に致命的な問題を抱えることになります。

まず、換気の効率が著しく低下するため、酸素を体のすみずみに送るために相当の努力をしなければならなくなります。

そのために、持久力が落ちたり、集中力が欠如したりします。結果として仕事や勉強やスポーツに大きなハンディを負うことになります。(いや、充分できている、とおっしゃる方がおられれば、その方はもし、鼻が健全ならばもっとすごい成果を挙げられていたことでしょう)

それから、鼻はいわば人体の空気清浄機であり、外気を体に優しい空気に変えて体内に送り込む働きをするところです。慢性的に鼻が詰まってしまっている人は、自然と口呼吸になってしまっています。そのため折角の空気清浄機が使われない状態、つまりは埃だらけの、乾燥した、冷たい(冬季の)空気を直に肺へと送り込んでいます。

そのために鼻が健康な人に比べて、風邪を引きやすくなります。さらに恐ろしいことには、高齢になってから、慢性肺疾患になる危険性が高くなります。

慢性的な鼻づまりに対する、従来の治療の限界

治療には大別して、薬による治療(保存的治療)、免疫治療、処置による治療、それから手術的治療があります。

この慢性的な鼻づまりに関して言うと、残念ながら薬の治療や免疫療法はなかなか満足な効果が得られないのが現実です。また、従来から行われているレーザーや高周波治療といった、簡易手術療法でも効果が長続きしないという欠点があり苦労して受けた割に得るものが乏しいといったところが実際です。

当院で行っている根治的な鼻閉改善手術(鼻づまり手術)

当院ではそのような治療の決め手がなかった慢性的な鼻閉に対する根治性の高い手術療法を提供し、良好な治療成績を上げております。

適応

慢性的な鼻づまりがあり、薬の治療が無効、あるいは不十分な効果しか得られない人に対して行います。原則として二次成長が終了した方に限ります(概ね18歳以上、但し個人差は考慮します))。

術式

  • 【1】粘膜下下鼻甲介骨切除術

    鼻腔(鼻の穴)内に下鼻甲介という粘膜のヒダがあります。鼻づまりはこの下鼻甲介が肥厚、つまり分厚くなることによりおこります。そこで下鼻甲介の中にある下鼻甲介骨という小さな骨を取り除くことにより下鼻甲介を委縮させ機能的に劣化させることによって鼻づまりを改善させます。

  • 【2】翼突管神経切除術(経鼻法)

    翼突管神経の枝に後鼻神経という枝があり鼻の中に分枝しています。この神経はいろいろな鼻への刺激に反応して、粘膜を腫らせたり、鼻汁を分泌したりする働きがあります。慢性的な鼻炎を抑えるためにこの後上鼻神経を下鼻甲介の中でカットします。

    翼突管神経切除術(経鼻法)を解説したイラスト
  • 【3】鼻中隔矯正術

    鼻の左右を隔てている壁を鼻中隔と言います。鼻中隔が極端に曲がっているものを鼻中隔湾曲症と言います。鼻中隔湾曲は鼻づまりを起こす原因の一つです。鼻中隔は真ん中に軟骨の板が入っていて表面は粘膜で覆われています。湾曲は真ん中の軟骨の歪みで起こります。

    そこで、軟骨の曲がっている部分(一部骨部も含む)を抜き取って矯正します。

    この手術により、鼻の形が変わったり、鼻の構造の強度が落ちたりすることは一切ありません。

    鼻中隔矯正術を解説したイラスト
アレルギー性鼻炎ビフォーアフターの鼻の中の様子

【1】【2】はさまざまな原因によって引き起こされる慢性的な鼻づまりに対してセットで行います。

【3】は鼻中隔湾曲のない方は行う必要はありません。 それぞれの適応は診察の結果によって決定されます。

そこで、軟骨の曲がっている部分(一部骨部も含む)を抜き取って矯正します。

この手術により、鼻の形が変わったり、鼻の構造の強度が落ちたりすることは一切ありません。

鼻閉改善手術(鼻づまり手術)の治療成績

この手術は当院で最も行われている手術で、最も得意としているものであります。治療成績も手術治療全般における満足度も非常に良好な結果が得られました。
手術で良くなった方は95.7%にいたりました。

「手術後の鼻の状態はどのようになりましたか?」という質問に対するアンケート結果

また、手術を受けてよかったと感じられた方の割合も94.1%に至りました。

「手術を受けて良かったと思いますか?」という質問に対するアンケート結果

花粉症に対する手術

日本における花粉症の患者さんは、全人口の60%にものぼると言われており、これはもう立派な国民病といえる数字であります。

花粉症は人によって、重症度や症状の出る期間など非常に個人差がありますが、重症花粉症の方の中には、数ヶ月に渡って仕事も満足に出来ないほどの症状が出るという方もおられます。

その為、実際花粉症症状のある期間だけではなく、花粉症季節が近づいてくると鬱になり、仕事のパフォーマンスが落ちると言います。

たかが、花粉症といっても患者さんにおけるトータルでの損失は計り知れません。

そこで、次のデータをご覧ください。

「花粉症よくなった?」という質問に対するアンケート結果

これは、当院で鼻づまり改善手術を受けられた患者さんのうちで、花粉症がある方に対して行ったアンケート結果です。

当院で行っている鼻閉改善手術(鼻づまり手術)で、花粉症が楽になった方が89.7%にものぼり、4.5%の方は花粉症にならなくなったという方も見られました。

当院で行っている鼻閉改善手術(鼻づまり手術)は花粉症にも十分有効な手術であると言うことが裏付けされました。

副鼻腔炎(ちくのう症)の手術

副鼻腔炎(ちくのう症)とはどんな病気か?

一般的には「ちくのう症」という病名の方が通っているかもしれません。

ちくのう症を医学的に言うと副鼻腔炎ということになります。つまり、ちくのう症と副鼻腔炎は同じ病気をさします。

正常時と副鼻腔炎(ちくのう症)の鼻の中の様子

症状は、黄色~緑色の粘っこい鼻汁と鼻づまりです。嫌な臭いを伴うこともあります。

また、急性期症状では顔面痛や頭痛を伴い非常に不快です。

風邪を引いたあとなどに一時的になるものを「急性副鼻腔炎」と言います。これは基本的に薬での治療になります。

ところが、風邪をひいているわけでもないが、常に上記のような症状があるものを「慢性副鼻腔炎」と言いおもにこちらが手術適応になります。

急性副鼻腔炎でも、風邪のたびに起こしてしょっちゅう辛い思いをしておられる方は手術適応になります。

当院で行っている副鼻腔炎根治手術(ちくのう症の手術)

副鼻腔炎の手術は20年ほど前までは、歯茎に大きな切開を入れて、頬の骨をノミツチで割るという手荒いものでした。術中の痛みもありましたし、術後にひどく顔が腫れ上がりもしました。ですから、昔に副鼻腔炎の手術を受けた方は、「やめたほうがいい!」と、皆おっしゃいます。それはごもっともな話です。

しかし、現在当院で行っている副鼻腔炎の手術はすべて内視鏡下に鼻の穴の中だけで行いますので、顔に傷をつけたり口の中に傷をつけたりはしません。基本的に術中の痛みはありませんし、術後に顔が腫れる事もありません。

副鼻腔炎(ちくのう症)のイラスト[部位の名称] 副鼻腔炎(ちくのう症)のイラスト[皮膚] 副鼻腔炎(ちくのう症)のイラスト[副鼻腔] 副鼻腔炎(ちくのう症)のイラスト[頭蓋骨]
テキスト
90%
皮膚
70%
副鼻腔
100%

副鼻腔というのは図のように頬の奥や、目と目の間、さらに頭蓋の下にある骨に囲まれた空間です。ここに感染症をお越した状態を、副鼻腔炎といいます。

なぜ、感染をおこし、しかも慢性化するかというと、最も大きな原因は通気性の悪さにあります。ですから現在の副鼻腔炎の手術の基本概念は基本的な構造をできるだけ温存し副鼻腔の失われた通気性を取り戻すことにあります。以前の副鼻腔の手術は副鼻腔炎をお越している病巣をできるだけ除去することが目的でした。手術の概念自体が180度変わったと言えます。

病巣を除去するという考えから副鼻腔を正常化させるというように考え方が変わったわけです。

副鼻腔炎(ちくのう症)ビフォーアフターの鼻の中の様子