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ENTナビゲーションシステム

手術というものは、人の体に人為的に傷を付ける行為である。

患者さんの損なわれた機能を回復させるためのやむを得ない治療の選択肢である。完成度の高い手術を目指すためにはある程度のリスクテイクが必要とある一方、手術による副損傷、それによって引き起こされる不利益は絶対にあってはならないことである。

リスクを侵して果敢に攻めた結果、重大な副損傷を発生させてしまえばそれは治療ではなく破壊行為となってしまう。しかしながら、安全性を憂慮するあまりに治療効果の期待できない不完全な手術で終えれば、それもまた単なる破壊行為だ。

より高い完成度を目指すということと、より高い安全性を確保するという相反する2つのタスクを同時に実行しなければならないのが手術の難しさである。

より高い完成度の手術の実施とより高い安全性の確保という2つのミッションを同時に遂行するために、当院では技術的な向上を日々模索するだけではなく、現在考えうる最新の設備を装備することにより、その高い目標を達成しようと心がけている。

米国Medtronic社製StealthStation FlexENTを使用している様子

この度当院が導入したのは米国Medtronic社製StealthStation FlexENTだ。

これは手術支援ナビゲーションシステムと言って、現在行っている手術の器具の先端が副鼻腔の中のどこにあるのかが示される装置である。

副鼻腔手術は内視鏡を用いて行われるが内視鏡による視覚的情報だけでは手術操作の現在位置の完全な把握は困難で、おおむね術者の経験に委ねられる。

しかしながら、熟練の術者でも、症例によっては非常に難しい決断を迫られることも少なくない。そのリスクを大幅に軽減してくれるのがこのシステムである。

Medtronic社はこの分野のトップランナーであり、StealthStation FlexENTは最新モデルである。従来の機種からくらべると操作性、利便性、精密度が格段に向上している。

米国Medtronic社製StealthStation FlexENT

現在でもまだ副鼻腔炎手術を行っている施設であるにも関わらず、ナビゲーションシステムを導入していないところは多い。

これは、あくまでも私見ではあるが、現在の医療機器の進歩を鑑みるに、副鼻腔手術、特に好酸球性副鼻腔炎の手術においてナビゲーションシステム無しでの内視鏡下副鼻腔手術は安全性を十分考慮しているとは言えないのではないかと思うのである。

当院では「患者さんに良くなってほしい」というぶれないパーパスをもって技術の向上、安全性の更なる追及をしてゆきたいと考えています。

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